第7話 覚醒の兆し

〜 ウルトラウーマンキャッティ 〜

 紅い光が砂煙を突き抜け、キャッティの身体が地面を滑るように後退した。荒れ果てた大地に膝をつき、荒い息を吐く。
「くっ……これが、ルミナ鉱の力……」
 目の前に立つのは、バルドスの巨大兵器。紫色に輝くルミナ鉱が核に埋め込まれ、異形の巨体が唸り声をあげる。
 瓦礫の上、バルドスが嗤った。
「どうした、王族の末裔よ。その程度の力で、この星を守るつもりか?」
 キャッティは拳を握りしめる。痛みが全身を襲い、呼吸も乱れている。それでも、心の奥底に燃える意志は消えなかった。
 思い出すのは、幼い頃に聞かされた話。兄のこと——L77星の戦士、ウルトラマンレオの存在を。
(私は……兄さんみたいにはなれないの?)
 直接会ったことはない。だが、星を護った伝説と、王族の血を引く者としての責任だけは、幼い頃から刷り込まれていた。
「ここで負けたら、あの人たちに顔向けできない……!」
 キャッティは震える足で立ち上がった。シークレットサインが淡く輝き、腹部から熱が広がる。
 巨大兵器が咆哮を上げ、紫のビームを放つ。キャッティは地を蹴り、鋭い身のこなしで攻撃をかわした。
 だが、ルミナ鉱の力を吸った敵は強い。一撃を放つたび、衝撃が身体を蝕む。
「まだ……足りない……!」
 苦しむキャッティを見下ろし、バルドスが薄ら笑う。
「兄たちの影を背負っても、その程度か。やはり小娘には荷が重い」
「……兄たちの影じゃない。私の戦いだ!」
 その瞬間、シークレットサインが強く脈打つ。キャッティの紅いボディが光に包まれ、空気が震えた。
「これが……私の、力?」
 自分でも制御しきれぬエネルギーが、身体中に満ちていく。腕が軽い。視界が澄み、全てがスローに感じられる。
「ふん、少しは面白くなってきたな」
 バルドスの目が僅かに細められる。
 キャッティは跳び上がった。地を蹴る音が消えたかのような加速。紅い残光が夜のザフリスに軌跡を描く。
「終わらせない……まだ、私は倒れない!」
 紅い光と紫のビームが交錯する。新たな戦いの幕が、再び上がろうとしていた。