第12話 銀河を駆ける紅い影

〜 ウルトラウーマンキャッティ 〜

 ザフリスの重い大地が、徐々に視界から遠ざかっていく。
 宇宙艇の窓から、キャッティはその光景を見つめていた。焦土と化した戦場、かつて賑わいを見せていた都市、その全てが小さくなっていく。
「……バルドスとの戦い、無駄じゃなかった」
 太ももに新たに現れた銀の装甲を、キャッティはそっと撫でた。戦闘の最中、己の奥底から湧き上がった力。それは確かに、兄たちと同じウルトラの血が自分に流れている証だった。
 しかし、まだ不完全だ。兄たちのように、宇宙の脅威から惑星を守るには、もっと力が必要だとキャッティは痛感していた。
 コクピットの前方パネルが点滅し、航行AIが告げる。
「座標入力完了。猫座フェリダ圏を離脱、次の航路を選択してください」
「獅子座エリア、L77周辺へ向かう」
「警告。獅子座L77星は消滅済み。現在、航行可能な付近宙域へ設定を変更」
 冷静なAIの声が、キャッティの胸を一瞬締めつける。
 母から何度も聞かされた、L77の崩壊。その記憶は、キャッティ自身は知らない。だが、血と魂に刻まれている。
「それでもいい。兄たちが生きてるなら、必ず痕跡がある」
 キャッティは強く答えた。
 船体が加速し、光の尾を引きながら星の海を駆ける。
 広大な宇宙。その中で、兄たちを見つける旅は、あまりにも途方もない。しかし、フェリダで育ち、ザフリスで戦い抜いた今、キャッティの決意は揺るがない。
「レオ兄さん、アストラ兄さん……私も、ちゃんと戦えるようになったよ」
 ふと、手のひらを見る。紅いエネルギーが微かに揺らめいた。
 フェリダの大気がもたらした尻尾、ツノ、エネルギーフィン。それは自分だけの力の象徴でもあり、L77の血を証明する形でもある。
 次の星域まで、まだ時間がある。
「修行の続き、するか」
 キャッティは立ち上がり、船内の重力制御エリアで構えを取った。拳を突き出し、エネルギーを集中させる。
 夜空のような宇宙艇の内部に、紅い光が浮かび上がった。
 星々を巡る旅は、これからだ。