第11話 星の海へ

〜 ウルトラウーマンキャッティ 〜

 夜明けのザフリスに、薄紅色の空が広がっていた。
 廃墟と化した都市の上空に、小型の宇宙艇が静かに浮かぶ。その船体には、ルミナ鉱の結晶を思わせる紋章が刻まれていた。キャッティが見上げる。
「結局、兄さんたちの手がかりは掴めなかったけど……」
 傷だらけのボディを風が撫でる。尻尾が揺れ、エネルギーフィンが微かに光る。
 バルドスの野望は砕いた。しかし、宇宙は広い。兄たちの影は、まだ遠い。
 ザフリスの住民たちが見送る中、キャッティはコクピットへと乗り込んだ。人工知能が起動する。
「座標、設定完了。フェリダからの登録ルート、発進可能」
「……次は、獅子座エリアだ」
 遠い宇宙の彼方、かつてレオとアストラがいた故郷。その周辺を目指す。生き別れた家族の手がかりを求めて。
「行こう、兄さん、アストラ兄さん……どこかで、絶対に会える」
 宇宙艇が加速する。ザフリスの大地が遠ざかり、星々が流れていく。
 広大な星の海。そのどこかに、兄たちがいる。
 キャッティは拳を握った。戦いは、目的じゃない。けれど、必要なら本気で戦う。それが、王族としての、ウルトラ戦士としての誇りだから。
「キャッティ、ルート確定。次の星域まで、航行時間およそ二週間」
「十分。その間に、もっと鍛えないと」
 船内で構えを取るキャッティの背に、フェリダで培った力が宿る。紅の光が、再び彼女を包んだ。
 その姿は、銀河を駆ける紅い影。
 キャッティの旅は、始まったばかりだった。