夜のザフリスに、紅い光が爆ぜた。
キャッティの身体が宙を舞い、紅蓮のエネルギーが全身を包む。シークレットサインが脈打ち、王族の血がついに目覚めたのだ。
「これが……私の、本当の力」
拳を握る感覚が変わっていた。身体の奥から湧き上がる力は、恐怖を忘れさせ、世界の輪郭さえも鮮明にする。
巨大兵器が、紫のビームを放った。
「遅い」
キャッティの姿が残像を残して消える。次の瞬間、巨大兵器の背後に回り込み、鋭い蹴りを叩き込んだ。
バルドスが目を見開く。
「馬鹿な……その出力、L77の王族でも限界を超えている……!」
「これが、私の戦い。兄たちの影を追うんじゃない。私は、私として……この星を守る!」
キャッティの拳が、紅い閃光をまとい、ルミナ鉱の核を正面から撃ち抜いた。
亀裂が走り、紫の輝きが暴走を始める。
「やめろッ……それ以上近づくな!」
バルドスの叫びも届かない。キャッティは迷わず跳び上がり、最後の一撃に全てを込めた。
「この星は……渡さないッ!!」
紅いエネルギーが炸裂し、ルミナ鉱の核が粉砕される。
巨大兵器が爆発し、紫の光が夜空を染めた。
瓦礫が降り注ぐ中、バルドスは肩を落とし、悔しげに呻いた。
「王族の血か……やはり、侮れん……だが、これで終わりではない」
「どういう意味……?」
キャッティが警戒を強めると、バルドスは苦笑いを浮かべた。
「ザフリスのルミナ鉱は、まだほんの一部。オルグロードの復活は……止まらんぞ」
「それでも、私は——」
バルドスの姿が、爆風と共に消え去る。
キャッティは拳を握りしめたまま、静かに夜空を見上げた。
ザフリスの空は、ようやく僅かに星が見え始めていた。
「絶対に、止めてみせる。この星を……仲間を……そして、私自身の未来を」
紅い影が、夜空に溶けていく。
まだ、戦いは終わらない。だが、キャッティの覚悟は、もう揺らがなかった。
——ザフリス編、完。
