次にキャッティが訪れたのは、リルナと呼ばれる青緑色の惑星だった。
大気は安定し、豊かな水と森に覆われ、外見上は平和そのもの。しかし、降下直後、宇宙艇のセンサーが異常振動を捉えた。
「星が、微かに震えてる……?」
キャッティは惑星の主要都市へと降り立った。そこには透明な羽根を持つ、体長一メートルほどのリルナ人たちが暮らしていた。小柄だが、高度な文明と繊細な文化を持つ種族らしい。
だが、街の広場はざわめきに包まれていた。地面が不規則に震え、空気が歪む。
「星のエネルギー脈が暴走してるんだ」
羽根をたたんだリルナ人の少女が、震える声で説明した。名前はリリィ、リルナの科学局に所属する若い研究員だという。
「エネルギー脈?」
「この星の地下には自然のエネルギーが流れてるの。でも最近、地下深くで異常反応が出て……このままじゃ、地殻が崩壊するかもしれないの」
キャッティの胸が高鳴った。ザフリスでの戦いの傷も癒えぬまま、また星を救う使命が迫っている。
「地下のエネルギー源まで、案内して」
リリィに導かれ、キャッティは都市地下へ降りた。そこには巨大な洞窟が広がり、淡く輝くクリスタルが壁面を覆っている。しかし中心部では、黒ずんだ亀裂が走り、そこから不安定なエネルギーが噴き出していた。
「これが……」
キャッティは拳を握った。紅い光が掌に集まる。
フェリダの大気がもたらしたツノとエネルギーフィンが震え、尻尾がしなる。
ザフリスの戦いで覚醒した太ももの銀装甲に、微かに光が走った。
「いける……私なら、この暴走を抑えられる」
キャッティは一気にエネルギーの中心へ飛び込む。
噴き上がる光と衝撃に耐え、拳を突き出す。
紅いエネルギーが暴走の核を包み、暴れる波動を無理矢理に鎮めていく。
星全体が、一瞬静まり返った。
「成功……したの?」
リリィが呆然とつぶやく。
キャッティは荒い息を吐きながら微笑んだ。
「これで大丈夫。しばらくは、星が落ち着くはず」
地上へ戻ると、リルナ人たちが歓声を上げていた。透明な羽根が光を反射し、空を舞う。
「ありがとう、キャッティ」
リリィが目を潤ませて礼を述べた。
「私、兄を探してるの。けど……こうして旅の途中で、できることをしていくのも悪くない」
星々を巡り、誰かを助けること。その積み重ねが、きっと自分を強くしてくれる。
キャッティは再び宇宙艇に乗り込んだ。
窓の外、リルナの星が穏やかに輝いていた。